こんにちは、COOの加藤です。

 

ENDROLLでは、創業から現在までの約3年で、10作品を越えるゲームを制作してきました。

創業当初は3名。現在でもたった8名の小規模チームだと考えると、かなりのハイスピードな開発だったと思います。

これらのゲーム制作の経験を通して、多くの仮説検証ができたおかげで、現在のENDROLLがあります。今日は、弊社がゲーム制作を通して得てきたことや、一貫して込めている想いを紹介します。

 

物語世界と現実世界を繋ぐ

創業当時から「ユーザーが主人公になる」ことを通して、退屈な日常を捨てて、ユーザーの人生が楽しくなるような体験を提供したいと考えてきました。

 

ゲームだけが進行するのではなく、キャラクターの成長を通してユーザーの心が動くような体験、ゲームのエンドロールが終わった後に、現実のユーザーにポジティブな変化が起こるような体験を創ろうと試行錯誤を繰り返してきました。

 

それらの思想を、最も高い濃度で実現するために必要だと考えたのが、「物語世界と現実世界をシームレスにつなぐこと」による没入感です。

 

当初は、ARを駆使することで現実を舞台にしたゲームを創れば、それが達成されるのではないかと考えていましたが、いざやってみると、それだけでは物足りないことがわかってきました。

 

1つ目の挑戦:ラビットホールによる「物語の導入」へのこだわり

ゲームへの没入度を上げる一つの手法として、「ラビットホール」を利用しています。これは「不思議な世界への入り口、つまり異なる層の物語をつなぐ結び目」という意味です。

 

2019年に池袋パルコ内で開催した「あなたが動かすアート展 〜おくびょうキュリオと孤独な絵描き〜」の事例でご紹介します。

 

池袋パルコ内の各所に設置された絵画からARで出現するパズルを解きながら、館内を周遊するゲームです。

 

言ってしまえば、スタンプラリーのような体験です。

しかし、ラビットホールを利用することで、ユーザーがメインキャラクターである絵の妖精「キュリオ」をただのキャラクターではなく、実在するキャラクターだと思うほど愛着を高め、ゲーム世界に没入することを目指しました。

 

キュリオは、失った感情を取り戻すために、世界(池袋パルコ内)を旅します。徐々に感情を思い出して行ったキュリオは、最後に「好奇心」を取り戻すことで、外の世界に旅に出ることを決意するというストーリーです。

 

しかし、ただプレイするだけでは、キュリオは「所詮ゲームの中の存在」になってしまいます。

その結果、ユーザーはゲームの世界に没入することができないだけではなく、無意味に館内を歩かされているという気持ちになりかねません。

 

そこでスタート地点の飲食フロアに、ラビットホールとして写真のような特設ブースを設置しました。ブースでは、キャストがアートの画商となり、動画や語りを通してゲームの世界へ誘うことを手助けしました。

 

池袋8Fの飲食フロアという現実とこのゲームの世界観を結びつけることで、キュリオへのユーザーの感情移入がしやすくなる設計をしました。

 

実際体験したユーザーからはキュリオに自分を重ねて、「明日から頑張ろう」という感想をくれた方もいました。ユーザーの方がENDROLLのゲームを通してポジティブな気持ちになってくれたことを感じて、当時大変うれしく思ったのを覚えています。

 

より詳しくは、おくびょうキュリオと孤独な絵描き|「リアルの商業空間」と「バーチャル」の垣根を越えてをご覧ください。

 

2つ目の挑戦:メディアを横断して紡ぐ「場所に囚われない」没入

ラビットホールは、現実と仮想を繋げる上でとても重要です。しかし、特設ブースのような現実の場所を利用していたため、体験できる場所が限られてしまっていました。

 

そこで、時間や場所に縛られない体験が創るための挑戦をはじめました。

この取り組みを始めたのは、新型コロナウイルスにより在宅を強いられるようになってからでした。それまでは「おくびょうキュリオと孤独な絵描き」のようにロケーションをベースにしたゲームに注力していましたが、方向転換を余儀なくされたことで、このようなアイデアが出てきました。

 

そこで、2020年にリリースしたAR体験ゲーム「ガラパゴスの微振動」をご紹介します。

 

ガラパゴスの微振動は、現代のいるユーザーが毎日のミッションをクリアすることで、メインキャラクターの磯部の過去を変えていくゲームです。

 

ステイホームが求められる中、非日常的な体験がなく退屈をしている方に、少しでも楽しくなれる体験を提供したいという想いから、自宅でも体験できるARゲームの開発を始めました。

 

今まではロケーションが固定されていたため、ブースやステージを設置することで、ゲーム世界への没入を促していましたが、ユーザーは自宅でプレイするためそのような手法がとれませんでした。

 

そこで、トランスメディアストーリーテリングというシステム取り入れました。

 

トランスメディアストーリーテリングはコンテンツの提供手法のひとつで、ある世界観において、その世界観に整合性のある複数の物語を複数のメディアで展開することにより、次第に物語の全貌を明らかにしていく手法をいいます。

(引用:【マーケティング5.0】トランスメディアストーリーテリングとは)

 

ガラパゴスの微振動では、ゲーム進行するために、普段からユーザーが使用しているWebアプリやLINEアプリなどを駆使することで、あたかもこの物語が現実で行われているかのような演出をしました。

 

日頃からユーザーが慣れしんでいるアプリやWebサイトを通して、ゲームの世界に干渉していく感覚になり、自分自身が主人公であると感じられます。

 

他にも現実の時間と連動してストーリーが進行したり、ゲームキットを自宅に配送したりと様々な工夫をすることで、現実とゲーム世界を繋ぐ設計をしました。

 

より詳しくは、ガラパゴスの微振動|日常の延長にあるかのようなエンターテイメントをご覧ください。

 

この世界から退屈を消し去るために

ENDROLLのゲーム制作の歩みは、「Gamify your LIFE 人生の楽しみ方を創る」というミッションの実現するための歩みでもあります。だからこそ一貫して「ユーザー自身が主人公になる体験」を目指して、挑戦を繰り返してきました。

 

このミッションは創業当初から完璧に口にできていたものではなく、今までのゲーム制作を通して、次第にクリアになってきたものです。

 

今後も、激しい市場環境・技術環境の変化に伴い、ENDROLLの創るゲームも柔軟に形を変えていく必要が出てくると思いますが、どんな時もこのミッションを一本の軸として持って、挑戦を続けていきます。

 

そして次の挑戦は、ミッションをより直接的に体現するような内容になっています。退屈や辛さを感じてしまう日常の瞬間を、ゲームの力で”楽しく”書き換えることで人生をより豊かに生きるためのゲーム事業。題して、「ライフハックゲーム」です。

 

鋭意制作中ですが、2021年末ごろにリリースできるうようになると思いますので、ENDROLLの新たな挑戦を見ていただければ幸いです。

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